「まだ自分にできることはある。」リタイアからの復帰

看護学校を卒業して以来、定年を機に初めて看護業界から離れました。自分のための時間があるのも初めてで、趣味や旅行など自分のやりたいことを存分に楽しんでいました。その一方で、まだ働けるのではないかという気持ちもどこかにあり、今後の過ごし方を考えていた際に、縁あって北陽会病院の看護部長職のお話をいただき、自身のスキルや経験を若い世代に伝えていきたいとその職を引き受けることを決意しました。
当院は、私がこれまで勤務してきた大学病院や市民病院など病床数・スタッフ数が多く階層化された病院とは異なり、管理職とスタッフとの距離がとても近く、部門や職種を超えた声も直接私の元に届きます。就任当初こそこれまでとの違いに戸惑いもありましたが、看護実践の機会が増えたこともあり改めて現場の楽しさを感じています。
個々のバックボーンやキャリアを活かした「キャリア開発」に着手

看護部として最優先に取り組むべき課題は、キャリア開発システムの構築だと捉えています。人材育成は医療の質を担保するうえで非常に重要です。スタッフ個々のスキルアップが、医療サービスの質の向上につながります。また診療報酬では看護の関与も評価されるようになり、経営改善の視点からも看護人材の育成は非常に重要だと考えます。当院にはさまざまなバックボーンやキャリアを持った看護師が多いので、それぞれの自主性を重んじたキャリア開発の仕組みを構築することを目指しています。まずは当院の目指す看護師像を示すべく看護部の理念・基本方針を策定しました。当院はポストアキュート・サブアキュートとして、地域包括ケアシステムにおいて地域の方々を支える重要な役割を担っており、理念と方針は当院の地域内での立ち位置を考えたものとなっています。次の段階ではひとりの看護師がこれまでのキャリアを活かし、さらに発展することを目指す、キャリア開発のシステムの整備・構築を進めていきたいと考えています。スタッフには「判断力」「応用力」「問題解決能力」「学ぶ姿勢」をしっかりと身に付けてもらいたいです。これらが身についていれば、たとえ変化の大きい環境にあっても、看護の専門職として周囲から信頼され、よりよい看護を提供できるはずだからです。
エビデンスに基づいた看護の実践を
看護の本質は「一期一会」だと感じています。看護はケアを受ける患者様あっての職業、我々が向き合う患者様も一人一人違います。患者様に向き合い、その方が望む姿にどれだけ専門性を発揮して寄り添うことができるかだと思います。
専門職としての看護はエビデンスに基づいて実践することが必要です。ナイチンゲールの素晴らしいところは、実践した看護を統計学を用いて数値化することによりエビデンスを明らかにし、看護を奉仕ではなく専門職として確立させたところにあると思います。スタッフには看護師という専門職に誇りを持って日々の仕事に励んでほしいと思っています。
一人一人の生活の中に仕事がある「ワークライフバランスの重要性」

当院ではかねてからスタッフのワークライフバランスを重視しており、多様な勤務形態に対応してきました。育児短時間勤務は勿論ですが、子育て中のスタッフが申し出た場合には夜勤回数を軽減するなど、子育てをしながらでも働き続けられるよう、可能な限り対応しています。シフトは、看護サービスの質を担保するための適切な人員配置となるよう作成するものですが、それだけでなく、スタッフの生活が含まれていることも忘れないように、と師長たちに伝えています。スタッフには当院の一員として責務を果たしてもらうことはもちろんですが、それぞれの生活がベースにあり、その上に仕事があると考えるからです。
看護師資格は一生ものであり、専門職としてのキャリアを継続することは重要です。スタッフがライフステージによってキャリアをあきらめることがないよう、それぞれが看護師としての人生を豊かに送ることができるよう、できる限りサポートしていきます。
自身のキャリアを活かしながらさらなる成長を

当院は急性期から在宅復帰へつなぐ中間期病院であるため、「患者さんの持てる力を最大限に活かす」、「無駄にADLを下げたり合併症が起きないようにする」看護をしっかりと患者さんと向き合って実践することができ、どんな方であってもご自身のキャリアを活かすことのできる環境があります。看護に対しやりがいを求める方であればさらに成長できる病院です。私もこの病院で、これまでの看護人生で培ってきたものを出し切り、これからの看護を担う皆さんにお伝えするつもりです。ぜひ北陽会病院で、ご自身のキャリアを最大限に発揮し、さらなる成長につなげていただければと思います。皆さんのご応募をお待ちしております。